内容
まず初めに、「スポーツを辞めちゃう問題」の背景を探るため、世界・日本・新潟県における女子サッカーの競技人口についてクイズ形式で生徒の皆さんに考えてもらいました。


日本全国でみると女子サッカーの競技人口は約5万人いることに対して、新潟県でサッカー協会に登録しているのは約650人(高校生は約150人、新潟県で女子サッカー部のある高校は3校のみ)となっており、全国的にみても非常に少ないということを認識してもらいました。
サッカーを続けられる環境が少ないことが競技人口の減少の要因となっていることを説明すると、実際にサッカーをしている女子学生は非常に驚いた様子でした。
また、女性は15歳~19歳でスポーツを辞めてしまう傾向があり、環境面と内面の要因があると感じています。三浦紗津紀 選手は「進学のタイミングでサッカーを辞めてしまった同級生がいたので、続けていく上で環境面は非常に重要」と話してくれ、川村優理 選手も「自分自身、小さい頃から新潟でサッカーをやってきたが、中学生に上がるタイミングで女子サッカーをする環境がなく、続けることが出来ない可能性もあった」と、今でこそ環境面は良くなってきたものの、選手が学生の頃は今よりもサッカーをする環境は少なく、ましてやサッカーを職業にすることは難しかったということを実体験を交えて話してくれました。
そんな中、今ではアルビレックス新潟レディースに所属しプロ選手として活動している選手たちが生徒の皆さんと交流することで、“今後のキャリアを考えるきっかけ”となったり、“将来的にスポーツに関わりたい”と思ってもらえるようなワークショップにしたいというメッセージ伝えて最初のパートは終了。
次に、パーソルイノベーション株式会社の大浦さまより、スポーツがキャリアにもたらすものや、スポーツに関連する仕事の紹介、セカンドキャリアなど、様々な切り口からキャリア形成の講義をしていただきました。その中で、「サッカーを続けることで得られるもの」という観点から、①非認知能力(数字で表せられないコミュニケーション力や自身、忍耐力など)②ポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)③希少性 の3つをお話しいただきました。
「サッカーは様々な社会的スキルが身につくスポーツであり、さらには競技人口が減少している女子サッカーをやっていたことは希少性があるため、社会的にみても価値がある」というお話に、生徒の皆さんは興味深く耳を傾けていました。
次に、プロスポーツという働き方について、石淵萌実 選手と道上彩花 選手が生徒の皆さんに向けて話しました。
10代でスポーツを辞めてしまうことについて、道上選手は「自分がサッカーを始めた時はそこまで問題視していなかったが、今こうして課題になっていることについて、プロ選手として何ができるか考え、行動していかないといけないと思った」と話し、石淵選手も「男性はスポーツ選手という職業が確立されている中で、経済面や環境面から中学、高校生以降で辞めてしまう子が周りにいた」と話してくれました。
ただ、両選手ともサッカーを辞めたいと思ったことはなく、道上選手は「嫌だと思うこともあるが、それ以上にサッカーが好きだから続けている」と話します。そして、石淵選手は「サッカーはパスやドリブル、シュートなど自分で選択する場面が多いため、意思決定能力が身についた」と話してくれました。
今後のキャリアについて、石淵選手は「選手としてパフォーマンスを上げるために今はトレーニングや栄養面などにこだわっているが、そういった面ではサッカーに関わる仕事はたくさんあると思う。あとは、自分が何が好きなのかということを動詞で考えるようにしていて、サッカーの何が好きなのかということから自分自身に問いかけることが大事だと思います」と話してくれました。
道上選手は「サッカーをやっているからこそ得られることはたくさんあるし、高校3年間という短い間だけど仲間との絆は今後も続いていくと思う。サッカー以外に好きなことを見つけることも大事だが、サッカーに出会えたことも大切にして欲しい」と生徒の皆さんへ伝えました。
最後に、生徒の皆さんには事前に「5年後のありたい姿」と「今までサッカーをやってきて得られたもの、続けてこれた理由」「自分の弱み・強み」を考えてきてもらいました。
これまでの話を聞いて改めて気づいた事や感じた事についてグループ内で共有。選手たちも共感したり、気づきを得る場面も多くみられたり、時には生徒の皆さんと談笑したりしている様子がうかがえました。
白沢選手のグループでは、「小学生の時は男子チームでやっていたが、男子とうまくコミュニケーションが取れなかった。それでもサッカーを続けてこれたのはサッカーが好きだからなので、サッカーが好きという気持ちが大事だと思う。」と発表。
ワークショップを終えて、白沢選手は「自分と同じ世代の子たちと話し、女子サッカーを内向的な理由で辞めてしまう現状に問題意識をもった。プロとしてキャリアを歩み始めた自分だからこそできることを取り組んで行きたい。」と述べました。
羽座妃粋 選手が最後に「これから進路選択で迷う事などがあるかも知れませんが、今日の交流が少しでも進路選択の幅を広げたり、プロ選手やスポーツに関わる仕事について考えるきっかけとなってくれたら嬉しい」とメッセージを送り、ワークショップは終了。

開志学園JSC高等部 女子サッカー部の皆さんと交流をさせていただき、選手たち自身もひた向きにサッカーを楽しむ皆さんの姿を見て、刺激を受けたようです。
皆さまありがとうございました!!